がらくたディスプレイ

趣味の小説置き場。どこかで誰かが読んでくれると幸せです。

01 小説一覧

全62話『未観測Heroines』 各話へのリンク・作品紹介

ブログでちょっとずつ書き進めていた小説『未観測Heroines』。ついに書き終わりました。 思いのほか大作になったので、目次的なものを作りました。 【チャプター】 (プロローグ) #1 #2 #3 #4 #5 (厄災編) #6 #7 #8 #9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #…

全9話『太陽と冬の少女 #1』 /小説/短編/ファンタジー

#1 陽ノ下太陽(ひのもと たいよう)というのが僕の名前。 中学2年生。 引きこもり。 僕の自己紹介なんて、だいたいこの3語で済んでしまう。 今日も平日の昼間から、学校を休んでテレビゲームをしている。暗い部屋。遮光カーテンで掃き出し窓を覆い、あえ…

全2話『消えた家族 #1』 /ホラー

#1 タバコに火を付る。煙を肺に満たし、俺は目を瞑った。鼻から煙を吐き出すと、意識は思考の海に沈んでいった。 ◇ 昔から考え込む癖があった。暇さえあれば、頭の中であれこれ考えている。政治、社会、人間、哲学。考えるテーマはいくらでもあった。そのよ…

全9話『素晴らしき人生をあなたに #1』 /なんちゃってSF

#1 どこで人生を間違えたのだろう。 ある日、コンビニのビニール袋を手に下げ古ぼけたアパートの一室に帰ってきたとき、竹林一郎の脳裏にふとそんな言葉がよぎった。 よぎってしまって、舌打ちをした。 それは、普段考えないようにしていることだった。 考え…

全12話『がらくた #1』

#1 ある日、僕は森の奥に連れてこられた。 その一画には、ガラクタの山ができていた。壊れた家具や鉄くずなど、役に立たなそうなものが山積している。ここはきっとガラクタを置いておく場所なのだろう。 村の青年たちは、協力して僕を抱え、山の上に放った。…

全1話『犬の○○○』 /ホラー?

学校の帰り道。 僕はサトルと並んで歩いていた。 彼と家の方向が同じであることは以前からわかっていたが、今までは何となくタイミングが合わなかった。しかし、最近はサトルと一緒に下校することが度々あった。 僕はサトルについて、ひとつどうしても気にな…

全2話『実験室 #1』 /ホラー

#1 見知らぬ部屋で目を覚ました。 「……」 上半身を起こし、ぐるりと首を回転させる。 殺風景な部屋だった。椅子の一つもない。 四方の壁、そして床や壁もコンクリートでできており、ものすごく無機質な感じだ。ということは、どうやら俺はコンクリートの上で…

全37話『異常で非情な彼らの青春 #1』 /青春

#1 よく晴れた月曜日の朝。 烏丸深夜(からすましんや)は、自らの不注意を嘆いた。 高校に向かう途中の交差点で衝突した女の子は、深夜と同じ学校の制服を着ていた。 少しばかり寝坊をし、遅刻をしないように、いつもより足早であったという事情はあった。 …

全2話『電気のつくり方 #1』 /ホラー

#1 西暦20xx年、日本。 とある、学校の教室。 ◇ 「みんな席に着きましょう」 『先生』が呼びかけると、各々好きに休憩時間を過ごしていた30人の子どもたちは、競うように自分に割り当てられた席に向かった。 机と椅子のセットは神経質なほどに均等に並べられ…

全2話『ヒトガタ #1』 /ホラー?

#1 これからするのは、何てことのない雑談だ。 途中でピンチになるわけじゃないし、面白いおちがあるわけでもない。ただ、少しばかり、変わった体験をしたというだけの話だ。 ◇ 町外れにある洋館は、どこか浮世離れしていた。 現代において、普通に普通の住…

全7話『空想ヒロイン #1』 /ホラー/美少女

#1 夕日が沈みかけた頃に帰宅した。 古いアパートの一室。鉄製の扉を開けると、一畳もないくらいの狭い玄関が現れる。 造り付けの小さな靴棚の上部には平らな面があり、小物を置くのに適している。僕は後ろポケットからバタフライナイフを取り出し、そこに置…

全2話『新世界 #1』 /ホラー

#1 僕らは、あの日終わってしまった世界を生きている。 ◇ 「あれに殺されることは、救いなのよ」 朝食の席、すでにパジャマから黒いセーラー服に着替えた妹は、世間話でも始めるかのように呟いた。 いや、彼女にしてみれば真実世間話のつもりだったのかもし…

全1話『豚』 /ホラー

金属製の扉が開く音が聞こえた。 それは、俺のご主人が帰宅したことを意味する。喜び勇んで玄関に駆けつけると、彼女は上がり框に腰掛け、靴を脱いでいるところだった。 「ただいま。豚野郎」 彼女は目を細めて、俺の頭を撫でた。 俺は腰元あたりまで垂れ下…

全8話『沙弥は檻の中 #1』 /青春/ホラー

#1 いい人 教室を出たところで呼び止められる。振り返ると、薄ら笑いを浮かべた女子の姿があった。 彼女は友達――いや、友達だと思っていた子。 手には箒が握られている。嫌な予感がした。 「何かな......?」 「これ、代わってくれないかな?」 「えっと、何…

全2話『偽りと少年 #1』 /ホラー

#1 「……それで、結局のところ君はなぜ、お母さんにあんなことをしたの?」 白衣を着た女はテーブル越しに座る少年に、穏やかな表情を浮かべて言った。 対して、少年は浮かない顔。無理もない。この質問は、これで3度目だった。 どうして、こうも話が通じな…