がらくたディスプレイ

趣味の小説置き場。どこかで誰かが読んでくれると幸せです。

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『太陽と冬の少女 #6』 /小説/短編/ファンタジー

#6 ――冬になっても、もうここには来れなくなるんだよ。 そんな、不吉な予言めいたことを言ったフブキは、次の冬、本当に僕の前に姿を現すことはなかった。あの時は、何年後かわからない、みたいな言い回しだったが、実に潔い幕引きだった。 その冬、雪は降ら…

『太陽と冬の少女 #5』 /小説/短編/ファンタジー

#5 「雪だるま?」 というと、雪だるまか――雪の玉を2つ縦に重ねたもの。 記憶の引き出しを探ってみる。 僕がフブキと出会った頃、そう、つまり『子供の頃』だ、彼女に小さな雪だるまをプレゼントされたことがある――が、そのことじゃない。 『僕が作った』雪…

『太陽と冬の少女 #4』 /小説/短編/ファンタジー

#4 春が来た。 一度も学校に行かないまま、学年がひとつ上がった。 進級するためには最低限の出席日数が必要みたいな制約とか、ないのだろうか。そこら辺の仕組みがどうなっているのかは、よくわからない。スマホで調べれば出てくるかもしれないが、そんなに…