がらくたディスプレイ

趣味の小説置き場。どこかで誰かが読んでくれると幸せです。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『異常で非情な彼らの青春 #27』 /青春

#27 『○月✕日 私は殺人鬼。殺したくて殺したくて殺したくて、殺したい。いつだって、今日だって、今だって。きっと生まれたときからこうなんだ。』 女子小学生の日記は、次第にこのような物騒な内容が多くなっていった。もっともこれは、林檎の『影』が書い…

『異常で非情な彼らの青春 #26』 /青春

#26 とにかく、林檎が投げて寄越した日記を読んでみるしかないだろう。とは言っても、いつまでも人の家の前――というか、人の家の庭に居るわけにもいかない。深夜は場所を変えることにした。 近くに公園があったのを思い出し、そこに向かう。 住宅地の一角に…

『異常で非情な彼らの青春 #25』 /青春

#25 以前訪れた、藤守家。住宅街の一角にあるその二階建ての建物は普通の一軒家に見える。 深夜は玄関のドアの前に立つと、迷わずインターホンを鳴らした。しかし、しばらく待ってみても何の反応もない。もう一度試すが結果は同じだった。 ドアノブをそっと…

『異常で非情な彼らの青春 #24』 /青春

#24 昼休みになると教室は次第に喧騒に包まれていく。それは、毎日、繰り返される光景だった。 「たまには一緒に飯でも食うか」 隣の席から、陸夫が話しかけてきた。 「いや、遠慮する」 「いいじゃねえか、どうせ1人なんだろ」 「うっさい」 深夜は手で払…