がらくたディスプレイ

趣味の小説置き場。どこかで誰かが読んでくれると幸せです。

01-3 /短編『太陽と冬の少女』

作者が自分で考察してみた〜『太陽と冬の少女』③

3回にわたりお届けしているこのコーナー。 本編が9話に対して、考察が3回目というのは、いよいよバランスがおかしくなってきたという感じですが――というか、なら本編をもっと書き込めよという話ですが、今度こそ最終回です。 とはいえ、すでに本編の解説はほ…

作者が自分で考察してみた〜『太陽と冬の少女』②

前回に引続き、自分で書いた小説を自分で考察してみようという、不思議なコーナーの第2回です。 sokohakage.hatenablog.com ○「フブキ」は実在するのか 旅に出た太陽君は、ついに雪の降る街まで辿り着きます。そして、フブキを探して街を彷徨いますが見つか…

作者が自分で考察してみた〜『太陽と冬の少女』①

こんにちは。 そこはかげです。 今日は前回最後まで書き上げた『太陽と冬の少女』を 「自分で」解説してみようと思います。 sokohakage.hatenablog.com 僕はこれまで、自分で書いたものについて、ここはこういう意味だよ的なことは、言わないようなスタンス…

『太陽と冬の少女 #9』(最終話) /小説/短編/ファンタジー

#9 頬を突つかれる感触で意識が覚醒した。 目を開け、焦点が合った先に、少女がいた。 「フブ……キ?」 ではなかった。左右横に結んだ髪が特徴的な女の子。歳は中学生か高校生か微妙なラインだ。僕は体を起こした。 僕、どうしたんだっけ。いつの間にか、公園…

『太陽と冬の少女 #8』 /小説/短編/ファンタジー

#8 「フブ……キ?」 慌てて立ち上がる。地面に沈み込みそうなくらい重かった体は嘘のように軽くなっていた。 「フブキ……なのか?」 思わずそんな間抜けなことを聞いてしまう。彼女に会うためにここまで頑張ってきたのに、いざ目の前に求めていたものが現れる…

『太陽と冬の少女 #7』 /小説/短編/ファンタジー

#7 自転車を漕いで北に進み、雪の降る地域まで行く。僕の計画は簡単に言えばそんなところだ。 もちろん、1泊2日くらいの小旅行とはいかない。日本縦断とまでは行かないが、それに近いイメージだ。 母は落ち着きなくリビングをうろうろした。うろたえるのも当…

『太陽と冬の少女 #6』 /小説/短編/ファンタジー

#6 ――冬になっても、もうここには来れなくなるんだよ。 そんな、不吉な予言めいたことを言ったフブキは、次の冬、本当に僕の前に姿を現すことはなかった。あの時は、何年後かわからない、みたいな言い回しだったが、実に潔い幕引きだった。 その冬、雪は降ら…

『太陽と冬の少女 #5』 /小説/短編/ファンタジー

#5 「雪だるま?」 というと、雪だるまか――雪の玉を2つ縦に重ねたもの。 記憶の引き出しを探ってみる。 僕がフブキと出会った頃、そう、つまり『子供の頃』だ、彼女に小さな雪だるまをプレゼントされたことがある――が、そのことじゃない。 『僕が作った』雪…

『太陽と冬の少女 #4』 /小説/短編/ファンタジー

#4 春が来た。 一度も学校に行かないまま、学年がひとつ上がった。 進級するためには最低限の出席日数が必要みたいな制約とか、ないのだろうか。そこら辺の仕組みがどうなっているのかは、よくわからない。スマホで調べれば出てくるかもしれないが、そんなに…

『太陽と冬の少女 #3』 /小説/短編/ファンタジー

#3 フブキと名乗る、ちょっと変った女の子と仲良くなったのは昨日のことだ。別れ際「また明日」と言って去っていったフブキは、言葉通り、また今日もやってきた。 彼女は気が付けば僕の部屋の前のベランダにいて、窓をノックした。相変わらず、どうやって2階…

『太陽と冬の少女 #2』 /小説/短編/ファンタジー

#2 「僕を外に?」 外に連れ出す――フブキと名乗った少女はそう言った。 「うん」 余計なお世話だと言い返そうと思ったが、やめておいた。真っ直ぐに僕を見る彼女の目は、本当に純粋な善意で言っているのではないかと思えるほどに、淀みがなかった。 だってそ…

全9話『太陽と冬の少女 #1』 /小説/短編/ファンタジー

#1 陽ノ下太陽(ひのもと たいよう)というのが僕の名前。 中学2年生。 引きこもり。 僕の自己紹介なんて、だいたいこの3語で済んでしまう。 今日も平日の昼間から、学校を休んでテレビゲームをしている。暗い部屋。遮光カーテンで掃き出し窓を覆い、あえ…